NDCの分類にTRPGが追加されるらしい

日本の多くの図書館で使われる図書の分類法である日本十進分類法(NDC)の第10版に向けた改版作業が現在審議されています。そこにサークル時代の先輩が関わっているのですが今度の改訂でTRPGが追加される予定だとか。やるなぁ。

TRPG(名称は「ロールプレイングゲーム」)は 798.4 となる見込み。7類「芸術 (美術、音楽、演劇、スポーツ、諸芸、娯楽)」の9綱「諸芸、娯楽」の8目「その他の室内娯楽」の中ですね。
ちなみに隣接するのは798.3「パズル.クイズ」(新設)と、798.5「コンピュータゲーム〈一般〉:テレビゲーム,オンラインゲーム」(「テレビゲーム」より変更)。

795.5のコンピュータゲームには「798.507 ゲーム制作:プログラミング,シナリオ」まであるので、TRPGもこのまま出版点数が増えるなどすればシナリオとかマスタリングとかの区分ができたりするのでしょうか。

ちなみにSLGTCGはといえば798のまま。形式や出版点数のせいなのかな。

審議案の該当部分についてはここで参照できます。
http://www.jla.or.jp/bunrui/7rui.htm

『ハンターズ・ムーン』プレイ記録&感想

ホラーアクションRPG『ハンターズ・ムーン』をやっとプレイすることができました。GMは私でプレイヤーは4人、全員がサイコロ・フィクションシリーズ経験者なので判定方法などの説明をしなくてよいのは少し楽。プレイヤーへ説明ではゲーム進行とキャラクターのルールだけでなく、狩の対象であるモノビーストの共通基本能力やルールも簡単に説明しました。というのもリプレイを読んだ感じではギリギリの戦闘を強いられるゲームに見えたので、プレイ中に「敵側にそんな特殊ルールがあるなら前のラウンドにあの行動はしなかった。」とか言われないようにするため。セッション中もプレイヤーが把握可能なビースト側の数値などはGM側から積極的に告知するようにしました。

ところがゲームが始まってすぐ、最初の戦闘フェイズの1ラウンド目が終了した時点で予想外の事態が発生。プレイヤー達が戦意喪失、ゲームの放棄(or別途再チャレンジ)を申請。
何がおきたのかというと1ラウンド目はPCの攻撃でモノビーストのモラル現在値は0にまで削られ、次のラウンドからは本体部分へのダメージを狙うという順調な滑り出しでした。そして、本体部分への攻撃には10点以上のダメージ値が必要な旨を告げたところ、アビリティ、行動、ロケーション効果が全てマッチしても10点以上のダメージをだせるのは1人しかいないことにプレイヤーが気がついたのです*1。(PCのダメージは基本1d6)

先に書いておきますと実際は各キャラクターの【感情】が一定値を超えたときに適用される【暴走】により双方とも与える・くらうダメージが1d6増減したりして、それなりに10点以上の数字は出ます。しかし基本的に【暴走】は【感情】が一定値まで減ったときに"起きてしまう"ものと捉えられるのでプレイヤーの選択肢にはなかったのです。*2

そのためプレイヤー達は「2ラウンド目以降は何やっても10点以上叩き出せない。このゲームは基本的にアビリティ1つはダメージが+1d6程度の効果のものを選択しなければならないのだろう。キャラメイクの時点で我々は間違えたんだ。」「2ラウンド目以降やることないんですが…。」「このままやっても勝てない。」と言い出したのです。
キャラメイクを間違えるとプレイ中にほとんど活躍できないゲームというのも昔はあったので、そういう発想に向かってしまうのもしょうがないのですが。
とりあえずプレイヤーの説得にかかりました。
私「ほら【感情】を増やして【暴走】の【逆上】すればダメージ1d6変わるよ。そうすればダメージ通る可能性でるし。」
PL「でも【感情】が30点までいくとアビリティが使えないだけでなく、防御もできないんでしょ。」
PL2「というか【習性】も【弱点】もわかってるし、敵のモラルは回復してしまうんだから決戦フェイズまで何もしないで温存したほうが良いのでは。」
私「うーん…(どうなんだろう?)」
しばらくのプレイヤー協議のうえ「全滅するならするで、とりあえず最後まで普通にやってみよう。」と前向きだか後ろ向きだかわからない感じでプレイ再開。

再開後は特に支障なく進み決戦フェイズ。最後は非常に白熱した戦いとなり、決戦で2人が死亡、生き残った2人も【感情】【激情】を使い切り、あと一回攻撃されたら確実に死亡という時点でかろうじてモノビーストを仕留めるというとてもドラマチックな展開。プレイヤーも「結果的にはヒリヒリする戦闘(だけ)のバランスとれたゲームだったんだ。」との感想。

ただ、プレイヤーとGMの双方が思ったのは「これってどちらかというとボードゲームに近いのでは。」ということ。特に不評なのは判定に使用する特技がダイスで決められるところ。
サイコロ・フィクションのシステムでは判定に必要な特技がなければ、その近くのマスにある特技で代用できます。例えば「この石を投げます。<投げる>がないから2マス離れた<打ち返す>をペナルティ2で判定。えーと、適当な棒で石を打つような感じでね。」といった風。この言い訳が楽しい。
ところが『ハンターズ・ムーン』の大半の判定は最初に使う技能までダイスで決定します。「【習性調査】します。(ダイスを振って)<落ちる>で判定!?一番近い<心臓>をペナルティ3で。ええとどういうシチュエーションだ…。」つまり言い訳が2段階に必要となる。1段階ならともかく2段階になると結構な負担でロールプレイの障害になる、特にギリギリの戦闘になって余裕のない後半は。
そのあたりと、ゲームバランスがシビアなため「<特技>の内容より配置場所が重視されてる」部分が相まってシステマチックなボードゲームの側に近すぎるという評価になりました。

今回の反省点はこのゲームのシステムコンセプトをプレイヤーにうまく伝えられなかったところでしょうか。次にプレイする機会があったら必ずプレイヤーにリプレイを読んでおいてもらおうと思います。

ホラーアクションRPG ハンターズ・ムーン(Role&Roll Books) (Role & Roll Books)

ホラーアクションRPG ハンターズ・ムーン(Role&Roll Books) (Role & Roll Books)

*1:1/36の確率の攻撃スペシャル成功の望みはあります。

*2:例えるなら別のゲームで流血状態の効果として毎ラウンドダメージをくらう代わりに攻撃ダメージが増加するとしても、まさか敵データが基本的に流血のダメージ増加分が加わることを想定したアーマー値にしてあるとは考えないでしょう。

数ヶ月ぶりの日記更新

多忙だったので数ヶ月ほど放置でしたが、やっと復活。
とりあえず放置期間の間に書きたかったネタなど。もう古くなってしまったものもありますが。

  • 『Born of Hope』公開

以前この日記に書いた『Hunt of Gollum』のように海外の指輪好きの有志が作った自主制作映像が12月に公開されました。
タイトルでピンとくる指輪ファンもいるかもしれませんが、追補編に少しだけ記述のあるアラゴルン誕生にまつわる話。
映像は英語ですが日本の有志によって字幕がつけられており、ヒアリングの苦手な人でも問題なく見れます。字幕は動画再生開始後に右下のボタンを押すことで表示できます。
70分もの大作なので時間のあるときにどうぞ。

http://www.bornofhope.com/

気の早い話ですが、来年(2011年)のトールキンカレンダーの絵はオランダ語版のイラストを描いているCor Blokだとのこと。

http://www.tolkienlibrary.com/press/930-Tolkien_Calendar_2011_Cor_Blok.php

日本のAmazonにももうデータは登録されているみたいです。

Official Tolkien Calendar 2011: The Lord of the Rings

Official Tolkien Calendar 2011: The Lord of the Rings

http://www.cubicle7.co.uk/
Cubicle 7 EntertainmentSophisticated Gamesの共同制作。Sophisticated Gamesは指輪物語ボードゲームを作っているところですが、そうするとイラストはJohn Howeとかを期待してもいいんだろうか。続報待ち。

『Grimm』PDF版がでたそうです

『Grimm』のPDF版ががDrivethruRPGで販売開始されたようです。相変わらずPDF版は安いですね。
http://www.fantasyflightgames.com/edge_news.asp?eidn=877


FFG社繋がりでついでに。
ボードゲーム『War of the Ring』のコレクターズエディション。約$400也。
http://www.fantasyflightgames.com/edge_minisite.asp?eidm=97
指輪物語ボードゲームってやたらとバリエーション版を作る気がします。『RISK』の指輪物語版なんて映画が公開された3年のうちにマイナーチェンジして3回もリリースされました。トールキンファンは良いカモに見られているのでしょうね。
なお、このコレクターズエディションは拡張セット『Battles of the Third Age』のルールやコンポーネントもカバーしているとのことです。ただし拡張セットのゲームボード(ヘルム峡谷とベレンノール野)だけは入っていない不思議仕様。なんでそんな中途半端な真似を。

メインのPCのスペックだときつくなってきた

自宅PCのスペックだときつい作業が増えてきたので中古のPCを買いました。新しいマシンを組もうとも思ったのですが、調べているうちに半年くらい待ちたくなったのでそれまでの繋ぎとして予算5kくらいで捜索。

購入したマシンのスペックはP4-2.8G(HT)、メモリ1G、DVI-I、1000Mbps-LAN、HDD20G、DVDドライブ。リカバリメディアはないけれどXp-HomeとVista-Homeのシリアルの2つが貼ってありました。OSまでついて5kちょいならよい買い物ではないかと。どこかで使っていたシンクライアント端末が電気街の中古屋界隈に大量に流れたというブツらしく、FirstBoot がLANになっていました。

早速動かしてみたところ満足の動作。これまでのPC(Celeron-2.4G、メモリ512M)では重くて使えなかった「どどんとふ」や、Facebookの写真アップ用ツールも快適に動きます。せっかくなのでオンラインセッションでもしてみたいところです。

『Brief History of the World』

長らく絶版だったボードゲームHistory of the World』が、マイナーチェンジのうえRagnar Brothersというメーカーから発売されるそうです。タイトルは『Brief History of the World』(『世界の略史)。

デザイナーズノートをざっと読んでみたところかなり手が入っている様子。

  • コンセプトは「フリークと一般ユーザーのどちらでも楽しめる」「プレイ時間・待ち時間の短縮」*1
  • 1プレイヤーに数種必要な軍隊コマについてはかさばるのをなんとかしたいが、ファミリー層も視野に入れているので今さらハズブロ版のプラスチック駒から紙コマに戻すわけにはいかない。そこで軍隊コマを1種類にし、過去の帝国の軍隊はコマを倒して表すというシンプルな解決法をとった。
  • 国境ラインにある山脈や森、海峡についてはかなり整理した。どちらが内側でどちらが外側かわかりにくかったという点についても見直しをした。
  • エポック(年代)の数を7から6に減らした。主にゲーム中盤に登場する国を削った。エポック1〜3が文明の興隆期、4が暗黒時代、5が大航海時代、6が植民地時代となる。
  • 具体例を挙げるとエポック1からはバビロニアが削られた。そのためエポック2ではアッシリアが最初からチグリス/ユーフラテスを支配している。エポック6では日本が再び帝国扱いとなった。そしてオランダが小帝国イベント扱いとなった。同様の格下げはクメールやチョーラ王国にもおこっている。ゲーム中盤の大変更は神聖ローマ帝国やチムール帝国にも行っており、弱小の帝国や王国の力が強化された。
  • 時間短縮のために地域の数を減らした。それに伴い帝国が持つ軍隊の数も減ることになった。結果としてあちこちで侵略が発生し、展開が派手になった。
  • 侵略のルールも整理された。地形効果は簡単になり、海越えの侵略の有効性が増し、砦の効果は強化された。
  • 例外的な処理を伴う効果が増えた。複数の帝国が同じ場所から発生したり、万里の長城を取り除くなど帝国が個性を持つようになった。
  • ハズブロ版にあったボーナストークンのボーナスについても調整がなされた。

今週末のエッセンの見本市にあわせて発売されるようです。有名なゲームなだけに、どこかのショップかメーカーが輸入してくれるのではないでしょうか。


Board Game Geek - 『Brief History of the World』

*1:以前の版はプレイに4〜5時間くらいかかりましたが、今度のは2〜3時間くらいでプレイできると謳っています。ファミリーを狙うならまだ重い気がしますが。

『黒ねこの王子カーボネル』

ずっと古書店で探していた本がいつのまにか復刊されていました。(復刊.comの復刊案内はしばしば遅いことがある。なんでだろう。)

この物語は主人公は少女ですが、話の中心にあるのは魔女の「使い魔」。普通の少女であるロージーは魔女の使い魔だった黒ねこカーボネルと偶然出会います。そして魔女はいなくなったものの、使い魔を縛る魔法からはまだ完全に解放されていないカーボネルを自由にするべく冒険をしていくのです。

主人がいなくなった後の使い魔というのは面白いテーマだと思うのですが、あまりクローズアップされることがありません。ゲームのルールにおいても解放される・元いた場所へ帰還する程度の記述しかないことが多い。
もちろんルールでサポートをしているゲームもあります。例えば『ルーンクエスト』の場合、造り主が死ぬと使い魔は主人から付与された能力値を失っていきます。このルールを使った展開として、以前プレイヤーで参加したシナリオではこんな流れがありました。
PCの父親(魔道師)が目の前で惨殺され、徒弟であるPCは父の使い魔と一緒にからくも脱出する。しかし使い魔は時間がたつにつれて弱っていき、意思の疎通すら困難になっていく。そこに父の知り合いを名乗る魔道師があらわれ「私にはその劣化を止めるすべがある。その使い魔を渡せ。」と迫ってくる…。


プライドを持つ使い魔のいう点でもこの物語は面白い視点を与えてくれます。カーボネルは魔法で縛られた使い魔ですから、主人との関係は尊敬や皮肉というよくあるものではありません。そして猫の王子である彼の振る舞いは矜恃に満ちています。このギャップが彼をより苦しめることになりますが、単なる寄り添う使い魔ではなく1人のキャラクターとしてより魅力的なものにしているのです。思わず自分のシナリオのNPCとして登場させてみたくなるくらいに。
実はこの物語をほぼそのままの内容で『ウィッチクエスト』のシナリオにしてプレイしたことがあります。依頼を受けるのは少女ではなく見習い魔女と相棒のネコになりますが、それも上手く働いてとても楽しいセッションになりました。*1ネコがプレイヤーにいる分だけネコ社会についての情報(“王子”について、など)を与えやすく、ネコプレイヤーも見習い魔女のサポート以外にいろいろな活躍場所を作ることができたのです。


この本はカーボネル3部作の1巻にあたるのですが、2巻以降は未だに翻訳されていません。復刊を機に続編も翻訳されないかと淡い期待を抱いています。


黒ねこの王子カーボネル (岩波少年文庫 161)

黒ねこの王子カーボネル (岩波少年文庫 161)

*1:ストラクチャーカードの引きとイベント表のダイス目がよかったというのもありますが。