『ハンターズ・ムーン』プレイ記録&感想

ホラーアクションRPG『ハンターズ・ムーン』をやっとプレイすることができました。GMは私でプレイヤーは4人、全員がサイコロ・フィクションシリーズ経験者なので判定方法などの説明をしなくてよいのは少し楽。プレイヤーへ説明ではゲーム進行とキャラクターのルールだけでなく、狩の対象であるモノビーストの共通基本能力やルールも簡単に説明しました。というのもリプレイを読んだ感じではギリギリの戦闘を強いられるゲームに見えたので、プレイ中に「敵側にそんな特殊ルールがあるなら前のラウンドにあの行動はしなかった。」とか言われないようにするため。セッション中もプレイヤーが把握可能なビースト側の数値などはGM側から積極的に告知するようにしました。

ところがゲームが始まってすぐ、最初の戦闘フェイズの1ラウンド目が終了した時点で予想外の事態が発生。プレイヤー達が戦意喪失、ゲームの放棄(or別途再チャレンジ)を申請。
何がおきたのかというと1ラウンド目はPCの攻撃でモノビーストのモラル現在値は0にまで削られ、次のラウンドからは本体部分へのダメージを狙うという順調な滑り出しでした。そして、本体部分への攻撃には10点以上のダメージ値が必要な旨を告げたところ、アビリティ、行動、ロケーション効果が全てマッチしても10点以上のダメージをだせるのは1人しかいないことにプレイヤーが気がついたのです*1。(PCのダメージは基本1d6)

先に書いておきますと実際は各キャラクターの【感情】が一定値を超えたときに適用される【暴走】により双方とも与える・くらうダメージが1d6増減したりして、それなりに10点以上の数字は出ます。しかし基本的に【暴走】は【感情】が一定値まで減ったときに"起きてしまう"ものと捉えられるのでプレイヤーの選択肢にはなかったのです。*2

そのためプレイヤー達は「2ラウンド目以降は何やっても10点以上叩き出せない。このゲームは基本的にアビリティ1つはダメージが+1d6程度の効果のものを選択しなければならないのだろう。キャラメイクの時点で我々は間違えたんだ。」「2ラウンド目以降やることないんですが…。」「このままやっても勝てない。」と言い出したのです。
キャラメイクを間違えるとプレイ中にほとんど活躍できないゲームというのも昔はあったので、そういう発想に向かってしまうのもしょうがないのですが。
とりあえずプレイヤーの説得にかかりました。
私「ほら【感情】を増やして【暴走】の【逆上】すればダメージ1d6変わるよ。そうすればダメージ通る可能性でるし。」
PL「でも【感情】が30点までいくとアビリティが使えないだけでなく、防御もできないんでしょ。」
PL2「というか【習性】も【弱点】もわかってるし、敵のモラルは回復してしまうんだから決戦フェイズまで何もしないで温存したほうが良いのでは。」
私「うーん…(どうなんだろう?)」
しばらくのプレイヤー協議のうえ「全滅するならするで、とりあえず最後まで普通にやってみよう。」と前向きだか後ろ向きだかわからない感じでプレイ再開。

再開後は特に支障なく進み決戦フェイズ。最後は非常に白熱した戦いとなり、決戦で2人が死亡、生き残った2人も【感情】【激情】を使い切り、あと一回攻撃されたら確実に死亡という時点でかろうじてモノビーストを仕留めるというとてもドラマチックな展開。プレイヤーも「結果的にはヒリヒリする戦闘(だけ)のバランスとれたゲームだったんだ。」との感想。

ただ、プレイヤーとGMの双方が思ったのは「これってどちらかというとボードゲームに近いのでは。」ということ。特に不評なのは判定に使用する特技がダイスで決められるところ。
サイコロ・フィクションのシステムでは判定に必要な特技がなければ、その近くのマスにある特技で代用できます。例えば「この石を投げます。<投げる>がないから2マス離れた<打ち返す>をペナルティ2で判定。えーと、適当な棒で石を打つような感じでね。」といった風。この言い訳が楽しい。
ところが『ハンターズ・ムーン』の大半の判定は最初に使う技能までダイスで決定します。「【習性調査】します。(ダイスを振って)<落ちる>で判定!?一番近い<心臓>をペナルティ3で。ええとどういうシチュエーションだ…。」つまり言い訳が2段階に必要となる。1段階ならともかく2段階になると結構な負担でロールプレイの障害になる、特にギリギリの戦闘になって余裕のない後半は。
そのあたりと、ゲームバランスがシビアなため「<特技>の内容より配置場所が重視されてる」部分が相まってシステマチックなボードゲームの側に近すぎるという評価になりました。

今回の反省点はこのゲームのシステムコンセプトをプレイヤーにうまく伝えられなかったところでしょうか。次にプレイする機会があったら必ずプレイヤーにリプレイを読んでおいてもらおうと思います。

ホラーアクションRPG ハンターズ・ムーン(Role&Roll Books) (Role & Roll Books)

ホラーアクションRPG ハンターズ・ムーン(Role&Roll Books) (Role & Roll Books)

*1:1/36の確率の攻撃スペシャル成功の望みはあります。

*2:例えるなら別のゲームで流血状態の効果として毎ラウンドダメージをくらう代わりに攻撃ダメージが増加するとしても、まさか敵データが基本的に流血のダメージ増加分が加わることを想定したアーマー値にしてあるとは考えないでしょう。